月夜の泡沫 season1

月夜の泡沫 season1
第一夜 出会った二人 前半  午後十一時を少し過ぎたころ、僕「夜月レン」は、いつものようにアパートのドアを静かに閉めた。 金属が噛み合うような、乾いた鍵の音が「かちり」と鳴る。その音がやけに夜に響いた気がして、反射的に肩をすくめる。 誰かに見られているわけでもない。 それでも、夜に外へ出るときは、無意識に息を潜めてしまう。 足音を殺し気配を薄くして、まるでこの世界から一時的に消えようとするみたいに。 冷たく澄んだ夜の空気が、肺の奥まで流れ込んでくる。 胸の中に溜まっていた熱を、静かに冷ましていった。 「……今日も、いい夜だ。」
『夢屋』
『夢屋』
いらっしゃいませ。『夢屋』と申します。 当店では「少しだけ現実を離れて、非現実を味わうお手伝。」をモットーに、小説を書いています。 どうぞごゆっくりお過ごしください♪