140文字小説+α その158 「プライド」

 35歳、アルバイト勤務の俺。正社員を目指して、履歴書を書く。  職歴は、アルバイトしかない。資格も、運転免許すらない。  それでも、臆さず、キレイに手書きで履歴書を書く。  これが、書道教室に15年通っていた者のプライドである。  漢字だけじゃない。平仮名やカタカナも、とめ、はね、はらいをしっかりと。  俺に残された最後のアピールポイントなんだ。  字がきれいというのは、きっと丁寧な印象を与える。  そう信じるしかないし、それしか突破口がないとも言える。  履歴書を書き終える。美しい。これが、書道である。
きと
きと
就労移行支援を経て、4度目の労働に従事するおじさんです。 あまり投稿は多くないかも知れませんが、よろしくお願いします。 カクヨム、エブリスタでも小説を投稿しています。