最後のピースは君の番

最後のピースは君の番
「ねぇ颯斗今日の屋台はどうだった?お客さん沢山来てた?」 病床にいる咲希はパズルのピースをまだ半分にも達していないパズルにはめながら言ってきた。 昨日と今日で高校生活最後の学校祭があったのだ。 「昨日よりかは来てたよ。あと先生達には内緒でこっそり咲希の分も持ってきたんだ。好きだろ?金魚の飴」僕は鞄の中をあさりながらそう答えた。うちの学校は、他の学校にはない飴細工職人が毎年学校祭にきてくれるのだ。 「えっ!ほんとに持ってきてくれたの!?」 思った通りの反応だった。何故なら、学校祭が始まる1ヶ月前のこと咲希は病床で「今年の学校祭も行きたかったな〜去年みたいに金魚の綺麗な飴が見たかったな。」と言っていたからだ。今年も金魚の飴を見られるとは思ってもみなかったために咲希は驚いた反応をしたのだろう。 「咲希は、なんでそんなに金魚の飴が好きなんだ?」と僕は不思議そうに尋ねた。 咲希は金魚の飴を嬉しそうに見ながら「自分が皆のなかに居るのか分からなくなる事があるんだ。そんな時、去年この飴細工を見た時にいまにも水に溶けそうな程に綺麗な金魚がなんだか自分と似てると思ったからだよ。今の病態も合わせてね。」
くあら
くあら
女子高校生 自分が初めてお付き合いをして体験した別れや日常での思いなど空想の話しなどを作品にしていこうと思います。