フレイル=サモン〈CLⅤ〉

フレイル=サモン〈CLⅤ〉
サウラ国領土〈ジェノバ中央都市・国軍運用地〉  人通りの多い住宅街を抜け、フレイル,アン,グラストの三人はとうとう黒いレンガ造りの道へと踏み入った。太陽が燦々と昇るのとは裏腹に、目的地に向かうに連れて体感する肌寒さが少し増す。 「ー周辺をゴブリンの群れに囲まれ、満身創痍の絶体絶命。しかしその時、私は傷だらけの右手に最後の力を込め、奇跡の剣閃を弾かせた!」 グラストは自身の武勇譚を声高に喧伝した。うんざりと相槌を打ちながら、フレイルは改めてため息を吐いた。 本当にこの人に訓練をつけてもらうことになるのか……おっと、あからさまに気落ちしては失礼だ。何かしら賛美を述べないと。 「それはまあ……大層なお点前で」 「そうだろうそうだろう。僕の剣術捌きを前にすれば、どんなモンスターだって恐れを成して逃げ出すんだからね」 彼は自負する事に気を取られて、こちらの苦笑を感じ取らなかったらしい。自慢話はもうこりごりだが、護衛隊の副隊長という立場を踏まえれば聞きたいことは少なくない。 「そういえば、何故グラスト副隊長が新人護衛隊員の初週訓練を担当する事になったんですか?たしか今年が初めてなんでしたよね」
クリオネ
クリオネ
来年度まで活動休止中〜♪ ※注釈※ 時折り過去話に手を加える事があります (大きく変えた場合は報告します) 定期的なご確認をお願いします。 novelee様の不具合か、 長い文章の一部が 途切れている場合があります。