隣で
多分、この世界は不平等なんだ。
だって、こんなに頑張っている彼女は泣いていて、ただの惰性で毎日を過ごす僕は、なんだかんだで楽しく生きている。
この後ろめたさを少しでも忘れたい僕は、彼女に寄り添う。そうすれば、最低限僕は優しい人間ってことになるだろうから。
少なくとも、彼女から見れば。
僕と彼女は幼馴染で、小さい頃からよく遊んでいた。とはいえ、歳月を重ねるごとに少しずつ会うことも減っていった。もちろん仲が悪いわけでは無いけれど、高校生になる頃にはお互いに別々の関係を築いていたし、廊下ですれ違う僕達は、お互いに認知していても会釈さえ無くなっていた。
連絡アプリを覗いてみれば、最後の会話ログはもう一年近く前になる。今一度それを確認すると、僕の心の隙間にからっ風が吹き流れていったみたいで、その寒さで上着の前裾を少しだけ握りしめた。駅のホームにただ一人だけ、僕は座って風に揺られていた。
風に少しばかり暖かさが混じってきた。季節も変わり目かと思ったけど、その暖かさは少し違う。風煽られた枯葉が一枚、宙を舞う姿がある。それを自然と目で追って、ゆらりゆらりと近づいて、僕の隣まで流れて来て、そこで僕は目を見開いた。
驚きに気を取られ、何を言って良いのか分からない。そんな折、彼女の瞳から涙が零れた。
本当は何度も目にしていた。でも随分久しぶりに見たような彼女の姿に、空気も読めない心臓は鼓動を早めた。
急に泣き出した彼女に僕は焦って慌てふためく。自分のことながら情けない。
0
閲覧数: 184
文字数: 1519
カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2026/6/11 10:20
じゃらねっこ
ねこじゃらしが好きなので、じゃらねっこです。
毎日投稿始めます。