私を見て(第三話)

私を見て(第三話)
土曜日の午前十時前。 電車から降りた私の足取りはとても軽かった。すぐにでも走り出しそうな浮かれた足取りで、改札へと向かう。 鞄からICカードを取り出してから前を向くと、視線の先に雫の姿が見えた。私は控えめに手を振ると、急ぎ足で改札を出た。 今日は、雫と一緒に街で買い物をする予定だ。この間無視されていることを打ち明けた後に、会う日時を決めていたのだ。きっと私のことを気遣って時間を作ってくれたのだろう。一緒に過ごせることは勿論だが、その心遣いが何よりも私を嬉しくさせた。 「雫ちゃんは行きたいお店ある?」 私がそう尋ねると、雫は少し間を置いてから答えた。 「今日は特に何も決めてなかったんだ。花の行きたい所について行くよ。あ、でも…。せっかくだからお揃いのものが欲しいかな。」 「…………いいよ。今日私髪飾り買う予定だったから、お揃いで買う?」 「いいね。そうしよう。髪飾りだったら、色違いでもいいかも。」
夜桜 栞
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夜桜 栞(よざくら しおり)です。 まったり小説投稿するので、よかったらお付き合いください♪