【赤目ルイ】美しい瞳
美しい瞳を見た。その瞳のその真黒の瑪瑙の中には確かな星空が浮かんでいた——
私は祖母の葬儀の為、母方の郷里へ急ぎ列車で向かっていた。祖母にはもう十数年会っていない、故に感慨も少ない。ただそれにも増して今回の列車旅は、退屈なものになりそうだった。
大方列車にも乗り飽きたころ、『それ』はやってきた。
「おじさん見て、飛行機!」
何処かの子供が玩具の飛行機を、船を漕ぎかけの私に見せてきたのだ。
「そうか、飛行機かい。良かったね」
「うん!」
その時、私の眼はこの少年に吸い寄せられた。眼だ。この少年の目に釘付けになった。なんと美しい瞳であろうか。黒瑪瑙のような深い墨色とそれに散りばめられた星空の様な輝き。これまで女性の瞳を覗いた事は幾度かあれど、ここまで美しい瞳は果たして今まであっただろうか……
「おじさん、じゃあね」
「あ、ああ」
0
閲覧数: 63
文字数: 1494
カテゴリー: その他
投稿日時: 2026/10/3 20:34
最終編集日時: 2026/10/3 20:36
梟文庫
アンソロジー企画「梟文庫」
No unauthorized reproduction or AI training.