桜色の嘘

エイプリールフールに告白するのが夢だった。 なんだか、ロマンチックな気がするから。 理由は単純なものだけど、ずっとずっと大事に抱えてきたんだ。 この切り札は、絶対に初恋の君に使うって。 仕返しなんだから。 公園のベンチに腰掛けて舞い散る桜と、そよ風に身を任せる。 僕の初恋は、高校生の頃。 新学期のそわそわした教室で、前の席に座ったのが彼女だった。 椅子に貼られたネームプレートには、四月一日 薫、と書かれていて、友達に奢らせたサイダーを吹き出しそうになったのを覚えてる。
一ノ瀬奏
一ノ瀬奏
いちのせ かなで(Ichinose Kanade)と申します。 創作の源泉は教室に響く乾いたチョークの音とどこか遠くから聞こえる先生の声。 そんな贅沢なBGMを拵えて、本来「有意義」と言われるべきだった時間に「無意味」をつらりと重ねること、それが私にとって何よりの至福でございます。 私の奏でる不協和音が退屈極まりない日常に、「ふっ」と鼻を鳴らして笑ってしまう、どこか間の抜けていて、でも確かにそこにある「ズレ」をお届けできれば幸いです。 もっとも、私の旋律が顔も名前も知らない貴方のお耳に馴染むかどうかは保証致しかねますが。