四度目の仏陀

四度目の仏陀
曼荼羅にキリストの落書きが見つかったのはつい最近の事だ。 誰が描いたかは解明されていない。 胎蔵界曼荼羅らしき物に元から描かれていた見事な大日如来。その尊顔の真隣に、最後の晩餐のキリストが模写されていた。 これだけでも謎なのに、発見場所がメッカだという点がさらに謎を呼んでいる。 巷では、年の功を語る仏教に嫌気がさして手を組んだキリスト教とイスラム教の反乱だとか、三大宗教壊滅を狙ったヒンドゥー教の悪知恵だと言われている。噂が噂なだけに、それぞれの信徒達は憤りを隠せていない。 特に仏教徒は悲惨なまでに激昂していて、仏陀達を煩悩まみれな存在だと認識する事を、仏教に対する冒涜だと捉えている。その通りなのだが、奈良法師や山法師と呼ばれた日本の僧兵みたく暴れた所が良くなかった。自分らを棚に上げて煩悩について語るなど如何なものかと、世界中からのバッシングが止まらず、これにより仏教徒の大半は解脱失敗を余儀なくされた。 次に酷かったのはキリスト教の連中だ。 主張としては仏教徒とあまり変わらない。キリストは凡人に非ずという訳で、暴れなかったから仏教よりは罪が軽いというだけに他ならず、だからと言って曼荼羅に落書きは許されないだろうと罪を丁寧に着せた次第だ。 僕たち司法は当たり前のように宗教を裁いているが、残念ながら犯人発見には至っていない。キリスト教がやったというのも決めつけなのだが、聖書の教えが良かったのか、連中はすんなり受け入れてくれた。神を愛し、隣人である僕らを愛したという点では、彼らは宗教界の模範となるべき本物だと認めて良いだろう。 それならイスラム教はどうなのかというと、ベクトルが違うのだが、残念ながら彼らも例に漏れず醜い。
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