要−−−−2日目
怒号と悲鳴と湿っぽい音が響き渡る。幼い子供の声も聞こえているのは「そういうこと」だろう。
少し考えて、背中を向けた。引っ越してきて土地が安いこの田舎でさえあんな廃屋しか買えない家なのだ、しかも両親は浪費家ときた。マフラーや上着さえ買えない家の子を、こんな俺がどうやって救えるというのだろうか。
またきた道を引き返していると、
「父さんやめて!父さん!」
「うるさい、うるさいうるさいうるさい!お前が駄目なんだ、お前が駄目だから!」
と悲鳴と怒号がはっきりと聞こえた。その瞬間、足がピタリと止まり、竦んだ。膝が崩れ落ちてしまい、落ち葉に埋もれる。
奥野。父さん。置いていかないで。奥野翼。奥野元道。駄目なんだ。僕はきっと。
頭の中でさまざまな言葉と記憶が飛び交い、泣きたくなった。
「ッくそっ!!お前のせいだぞ、神原要……!!」
口の中で申し訳程度の悪態を転がし、神原家へ引き返す。心の中で焦燥感と吐き気が頭を擡げ、足がもつれそうになる。
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カテゴリー: その他
投稿日時: 2023/4/6 0:59
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
雪月真冬
雪月真冬と申します。実を言いますと昔pixivによくお邪魔させていただいていた者です。年齢不詳でお願いします。男子です。フォローしてくれたら嬉しいです。是非フォローしてください!
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