第一回NSS 桜は永遠に知らず

第一回NSS  桜は永遠に知らず
 黙祷した。疲れて座り込んだ道路に一匹、小鳥は死んでいた。名もなく、その小鳥の種さえ私には分からぬが、ひどく胸が痛んだ。自身にその悲しみがまだ残っていた。泣いてはやれないが。  ふと思い立った。私は何も知らぬ。だから、小鳥に名をつけてやろうと。私の記憶だけでもこの子を存在を遺しておきたい。だが名付けの経験もなく雪だるまをせいぜい「しろ」と呼んだ程度。  思った以上に苦戦した。面影は女の子だ。花?ピーちゃん?しかし、どれもこの小鳥に合わない。もっと淡くて凛とした名がいい。何時間も考えた。終電など、とうの昔に駅舎へと眠りに向かった。  「さくら。さくらにしよう」 幼馴染の妹の名前だ。男子校に揉まれてきた自分にとって、唯一身近にいた異性。それはもう、うんと可愛がった。何一つとして知らないくせに流行りのコスメなども買ってやった。愛おしいひとの名前なら、きっと。きっと、俺は覚えていられる。 ーーそれが愛おしさを感じるものにつく名前なのだから。 さくら。
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Us「うず」です。よろしく。 「よよ」だったものです。 高一