虚構旅行記

『 レインボー・オークの葉が揺れています。 風はその木に実っているナップノップルの香りを運ぶという役目をしています。とても芳醇で美しいその果実は、流水で洗って齧るのが一番美味しいと、スイートパイシー・ヴィレッジの皆さんが語っていたのが印象的です。 今、私の足元ではドラゴンがゴロゴロと喉を鳴らしています。皆様の中にこの土地を訪れる予定をお持ちの方がいらっしゃいましたら、スイートパイシー・ドラゴンを手懐けるべきだという事をご留意しておいて下さい。 鉄の兵器も悪意に酔った人間もいませんが、この土地はどこよりも広大であり続けています。原始的な生活を余儀なくされる中で移動手段はとても限られている。彼の翼は、この世界を代表する移動手段の一つです。尚且つ、とても友好的だ。 必要なのは焦げ目をつけた赤角牛の骨だけです。 これはアングセルフィ・ヴィレッジの村長から聞いたのですが、この世界にやって来る時、不要な物の持ち込みはお避けするべきだそうです。 まず電子機器。当たり前ですが、ここでは電気なんて物はありません。遊びの約束は手紙でしますし、翻訳機の心配もありません。私たちの言語の扱いに長けたプロフェッショナルが皆様を出迎えてくれます。料金は時間です。ナップノップルの収穫や、幼児の遊び相手などに充てられます。 通貨は存在していないのです。残念な事に皆様が札束を持ってきたとしても、それはお湯を沸かすための炎にしかなりません。
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初めましての方、よろしければ仲良くしてくださいね