今日もどこかで。 4

今日もどこかで。 4
結局その日はCコードを弾けるまでひたすら練習し、日が暮れる前にやっと弾けるようになった。 「やったぁ…。疲れた…。」 「よく頑張ったね。今日はここら辺にしようか。」 私はうんと頷き、ありがとうとお礼を言って別れた。家に帰ってからと言うもの、慣れないことをしたせいか、とてつもない疲労感に襲われた。いつも以上にご飯を食べる私を見て、母は目を点にして見ていた。 「あなた…。おかわりなんて言う様な子じゃなかったわよね…。どうしたの。」 「いやね?最近、駅前で知り合った男の子がいるってお話したじゃない?その子からギターを教えてもらってるの。」 「はっはーん。さては、惚れてるな?」 「ちっ…。違う!優しいけどそんなんじゃない!純粋にギターを教えてもらってるの!もうっ!おかわり!」 母は、少し嬉しそうニコッと笑ってご飯をよそってくれた。そっかぁ…。美琴もそんな歳になったのねぇ。と小さな声で言っている。ますます恥ずかしくなった私は、さっさと食べ終わって、湯に浸ることにした。 「あーぁ。指の皮。捲れてるなぁ…。ギターってこんなに指ボロボロになるなんて知らなかった。そう言えば煇君の手、ボロボロだったな。それだけ毎日練習してたんだ。私の知らない時も、いつもあそこで。」
耀
耀
バンドマンです。シンガーソングライターを5年程していました。 今は、バンドマンと作詞家、作家をメインに活動しています。