今日もどこかで。 4
結局その日はCコードを弾けるまでひたすら練習し、日が暮れる前にやっと弾けるようになった。
「やったぁ…。疲れた…。」
「よく頑張ったね。今日はここら辺にしようか。」
私はうんと頷き、ありがとうとお礼を言って別れた。家に帰ってからと言うもの、慣れないことをしたせいか、とてつもない疲労感に襲われた。いつも以上にご飯を食べる私を見て、母は目を点にして見ていた。
「あなた…。おかわりなんて言う様な子じゃなかったわよね…。どうしたの。」
「いやね?最近、駅前で知り合った男の子がいるってお話したじゃない?その子からギターを教えてもらってるの。」
「はっはーん。さては、惚れてるな?」
「ちっ…。違う!優しいけどそんなんじゃない!純粋にギターを教えてもらってるの!もうっ!おかわり!」
母は、少し嬉しそうニコッと笑ってご飯をよそってくれた。そっかぁ…。美琴もそんな歳になったのねぇ。と小さな声で言っている。ますます恥ずかしくなった私は、さっさと食べ終わって、湯に浸ることにした。
「あーぁ。指の皮。捲れてるなぁ…。ギターってこんなに指ボロボロになるなんて知らなかった。そう言えば煇君の手、ボロボロだったな。それだけ毎日練習してたんだ。私の知らない時も、いつもあそこで。」
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2022/11/15 9:01
耀
バンドマンです。シンガーソングライターを5年程していました。
今は、バンドマンと作詞家、作家をメインに活動しています。