第二話 閉ざされた扉

放課後の音楽室。 柚葉はふと足を止めた。 (誰か、ピアノを弾いてる……) 扉の向こうから流れてくる旋律は、昼間の授業で聞いた悠真のものだった。 優しく、穏やかで──だけど、どこか切ない音。 柚葉は無意識にドアを少しだけ開け、中を覗いた。
かなたん