第5回N1 決勝 『輪』

第5回N1 決勝 『輪』
私が産まれた日、恐ろしい嵐が木々を薙ぎ倒し、龍のように うねった川は村を流した。母は並外れた出産の苦しみを味わい、 私を産み落とした瞬間三日三晩眠り続けた。 そうして産まれた私は━━ 「ああ……悪魔の子だ」 時は十六世紀のフランス・ルーアン。木造建築物が美しい街 である。セーヌ川の流域に位置しており、古くから交易が盛んな 土地だ。そんなルーアンには一つの噂があった
史
ふひとです