君のいない部屋、僕のチャーハン

君のいない部屋、僕のチャーハン
 3年付き合った彼女が、家を出て行った。  結婚するものだと思っていた。だから去年、同棲を始めた。  2人で決めたテレビ、2人で決めたソファ、2人で決めた冷蔵庫、2人で決めたベッド。カーテンだけはこれが良いって君が言ったんだっけ。  思い出ばかりが残されて、肝心の君はどこにもいない。  君の残した家具や物で囲まれているはずなのに、空っぽの部屋にいるような気がして、胸がぎゅっと痛くなる。  ご飯の担当はいつも君。土曜日だけ僕。  僕はチャーハンしか作れないから、土曜日の夜はいつもそれだった。
夏木 蒼
夏木 蒼
短編小説しか書かない人です twitter→ https://twitter.com/summer_blue_04