フレイル=サモン〈CLⅥ〉

フレイル=サモン〈CLⅥ〉
サウラ国領土〈ジェノバ中央都市・国軍運用地「護衛隊訓練場」〉  訓練場はいつになくざわついていた。怒声や嗚咽,打撃音だけが虚しく響いていたそこは、今や一種のアリーナと化している。  広々とした床には翠色の畳が一面に敷かれており、冷たい風と共に時折り井草が香った。壁際で疲労に屈している護衛隊員らは、殆どが今から行われる“訓練”の方を向いている。  素足で畳の中央まで歩き、フレイルとグラストは向かい合わせに立った。睨み合う両者の手中には、勝敗を分かつ竹刀がそれぞれ握られている。  視界の端には物珍しそうに面を並べるギャラリーの他、フレイルからウエストポーチを預かっているアンの姿も見られた。 訓練の参戦を易々と了承しただけあって、彼女の顔に心配という二文字は無かった。 「はあぁ…」 既に胃がきりきりと痛い。やはり無理にでも辞退するべきだっただろうか。  グラストは竹刀を腰に帯刀し、訓練についてを詳述した。
クリオネ
クリオネ
来年度まで活動休止中〜♪ ※注釈※ 時折り過去話に手を加える事があります (大きく変えた場合は報告します) 定期的なご確認をお願いします。 novelee様の不具合か、 長い文章の一部が 途切れている場合があります。