無ジョウを生きる

無ジョウを生きる
少年は喚き泣いていた。 大切にしていたトラックのおもちゃが壊れてしまったからだ。 見れば、床一面にトラックの部品が散らばっており、タイヤは部屋の奥へ転がっている。 少年は荷台部分だったプラスチックの破片を、さも大事そうに握っていて離さなかった。 “また、デパートで新しいのを買おうな。” 父親はそう少年を慰めるのだが、頭を乱暴に振って言うことを聞かない素振りをする。 まるで、“もう欲しくない”と訴えるように。 それから少年は、持っていたおもちゃに全く手をつけなくなったという−−−。 少年がおもちゃで遊ばなくなって数週間が経った頃、それは日常生活に影響を及ぼしつつあった。
Left
Left