ぬりかべこんにゃく

ぬりかべこんにゃく
ある日、何気なく商店街を歩いていると変な屋台が出ているのに気が付いた。 それはちょうど八百屋と魚屋の間の細い路地の前に出ていたんだけど、何故か俺はそこが気になって屋台に近づいて行った。 「おやまぁ、いらっしゃい」 その屋台の店主である人のよさそうなお婆さんが俺を見てニコリとした。 「こんにちは。あの…」 俺がここは何を売っているのか聞こうとする前にお婆さんはニコニコ顔で話し始めた。 「ここはねぇ、ぬりかべこんにゃくっていうのを売っているのさ」 俺はそれを聞いて「は??」と思わず声を出してしまった。それを見てお婆さんはカカカと笑う。 「これはねぇ、食べるもんではなくてねぇ、壁などに穴が開いた時とかにこのこんにゃくを千切って伸ばして壁の穴に張り付けると忽ち、壁が元通りになるっていうもんなのさ」 俺はお婆さんの話を聞いて思わず吹き出してしまった。そんなコンクリートじゃあるまいし…
鍋屋木おでん
鍋屋木おでん
ショートショートをメインに長編書いたりしてる人です。 【逢魔時の妖怪嫌い】、更新中です。よろしくお願いします。