長く短い祭
「夢みたい!」
ジェニファーは車に乗り込むなり、そう言ってベッドの上に身を投げた。その衝撃で、若干車が揺れる。
「すっげえ!水も出るし電気も点くよ!冷蔵庫もある。これで食料はしばらく持つね。Wi-Fiもとんでるっぽい……けど俺ら誰も電子機器持ってないな」
アランは忙しなく車内のあちこちを弄って回っている。彼がぱたぱたと走る度、やはり車はゆらゆら揺れる。
「ふうん……ここが僕たちの終の棲家というわけか」
フィルがドアの傍で丸眼鏡を押し上げ、車内をまじまじ眺めながら言うと、彼と手を繋いでいたアマンダが不思議そうに彼を見上げた。
「ついのすみかって?」
「新しい家ってこった」
彼女の質問に答えたのはフィルではなくて、リーダー格のルイーザだった。彼女はアマンダの頭にぽんと手を置いて、にっと笑った。
「おーい、乗るんならさっさとしろよ。早くしねえと置いてっちまうからな」
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カテゴリー: その他
投稿日時: 2022/5/19 13:43
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
絵空こそら
よろしくお願いします。