長く短い祭

「夢みたい!」  ジェニファーは車に乗り込むなり、そう言ってベッドの上に身を投げた。その衝撃で、若干車が揺れる。 「すっげえ!水も出るし電気も点くよ!冷蔵庫もある。これで食料はしばらく持つね。Wi-Fiもとんでるっぽい……けど俺ら誰も電子機器持ってないな」  アランは忙しなく車内のあちこちを弄って回っている。彼がぱたぱたと走る度、やはり車はゆらゆら揺れる。 「ふうん……ここが僕たちの終の棲家というわけか」  フィルがドアの傍で丸眼鏡を押し上げ、車内をまじまじ眺めながら言うと、彼と手を繋いでいたアマンダが不思議そうに彼を見上げた。 「ついのすみかって?」 「新しい家ってこった」  彼女の質問に答えたのはフィルではなくて、リーダー格のルイーザだった。彼女はアマンダの頭にぽんと手を置いて、にっと笑った。 「おーい、乗るんならさっさとしろよ。早くしねえと置いてっちまうからな」
絵空こそら
絵空こそら
よろしくお願いします。