襲う

「突然の寒さに見舞われて_」  天気予報では、北海道の大雪を中継していた。寒波に襲われただの、なんだの。 「北海道のこの時期は雪が降るのが当たり前だ。この女は何を言っている」  リモコンの軋む音と共に、テレビが変わった。 「あー、寒い。爺ちゃん、暖かくしねぇと死んじまうよ」  いい歳した孫は、言うなりストーブをつけた。ピーとなって、ゴーと熱気が出る。乾燥した灯油の匂いに顔をしかめて孫を見やる。 「爺ちゃんは、俺がここにいること、邪魔だと思うか?」  気まずそうに目を逸らして、ヘラりと笑って言う。 「お前はここにいたらいい。大事な家族を失うのは、もう嫌だからな」  息子達がいなくなって、十年程経つ。愛した我が子の残したこいつだけは、襲われてたまるか。
三秋 うらら
三秋 うらら