落として、落ちないで

「どうか、私を地獄に落としてください」 少女は泣きながら言った。 名は凛。 その小さな声は、夜の冷たい空気にすっと溶けた。 目の前の影は、人でも神でもなかった。 ただ“呼ばれたから来た”という顔をしている。 「理由を聞こうか?」
三秋 うらら
三秋 うらら