荒廃した世界で貴方と 弐

キッチン、といってもIHコンロが一つあって、小さめな水道があって、小さい冷蔵庫があるだけ。 この世界の面白いところといえば、こんなに腐敗してるっていうのに水道や電気は問題なく使えるところだ。 そのくせ携帯やパソコンは繋がらないから、金属の塊と化してて、それでバランス取ってるんだろう。 私だってここはゲームの世界なんじゃないかって何度も考えたよ。 まず、生き返るってことが自然の摂理に背いてる。 日付が変わらないのもゲームでよくある設定だし、異性と出会うってのもそう。 ネット通信以外のインフラが妙に整ってるのも、ご都合設定みたいに感じる。 でもね、それにしてはおかしいんだ。 意識は夢みたいにもやもやふわふわしていない。 もしこれが夢だったら、起きている現実を疑いもしないで当たり前みたいに生活するはずだ。この超常世界の中でも。
一ノ瀬奏
一ノ瀬奏
いちのせ かなで(Ichinose Kanade)と申します。 創作の源泉は教室に響く乾いたチョークの音とどこか遠くから聞こえる先生の声。 そんな贅沢なBGMを拵えて、本来「有意義」と言われるべきだった時間に「無意味」をつらりと重ねること、それが私にとって何よりの至福でございます。 私の奏でる不協和音が退屈極まりない日常に、「ふっ」と鼻を鳴らして笑ってしまう、どこか間の抜けていて、でも確かにそこにある「ズレ」をお届けできれば幸いです。 もっとも、私の旋律が顔も名前も知らない貴方のお耳に馴染むかどうかは保証致しかねますが。