#11
次々に自分の記憶ではない映像が流れ込んでくる。しかしそれははっきりと馴染み、アルトの記憶ととけて結びつき合う。
この記憶はある時は荒野に、ある時は草原に、ある時は高く険しい山に、ある時は戦野に飛んだ。
しかし変わらず同じ剣−炎を模したかのようなガードの中央、紅く鈍く輝く魔石がはめ込まれている、両刃の剣だった−を携えていた。
瞬く間に記憶が駆け抜ける。もしくはアルトが記憶の中を駆け抜けているのかもしれない。しかしそのうち記憶のスピードが遅くなり、黒髪の女性が多く映るようになった。
笑顔を向けるその顔はまごうことなき。
「……リサ…?」
黒髪だったがアルトは確信した。リサは手を前に伸ばし、アルトに触れようとした。
こちらに差し伸べられた手を取ろうとアルトが手を伸ばした刹那。
戦野に場面が切り替わり、目を覆いたくなる光景が飛び込んできた。
あたりは血の海。転がっている死体は一体味方だったものなのかそれとも刃を切り結んだ敵のものだったのか判別がつかなかった。
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カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2024/7/22 12:39
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
Zeruel
趣味の範囲で書きます。
また、才能があるわけではないので、馬鹿にされると言い返せなくて泣きます。
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