あの夏よ、永遠に
去年の夏、僕は入院していた。
僕の余命はあと2ヶ月。
そう医師に言われてきた。僕はそれを聞いた時、なんとも思わなかった。悲しいとも思わなかったし、苦しみから早く解放されたいとも思わなかった。
そこで医師に、ある手術をすると約1%の確率で助かると言われた。でも僕は手術をすることを選ばない。もし生き延びても、もうすでに生きる目的を見失ってしまっていたから。
でもあるとき、女の子に出会った。志保といって、おばあちゃんのお見舞いに来てるとかで、庭で知り合った。僕の病気と余命について話すと、志保は厳しい顔をして言った。
「手術、受けなよ。こんな私が簡単に言えることじゃないって分かってるけど、1%でも生きられる可能性があるなら、生きなきゃ。命をそんな簡単に捨てたらだめ。生きる目的なんて、生きた後に見つければいいんだよ?」
僕は何も言えなかった。志保の言ったことがその通りだと思ったから。
僕が黙っていると、志保は自分の家族の話をしてくれた。
「私ね、幼い時に父親を亡くしてるの。病気だった。手術もできるって言われたけど、成功率が低くて、お父さんがね、そこまでこの痛みに耐えてないといけないんだったら死んだほうがマシだ、って言ったの。今貴方に言ったのは、私が人の死を間近で見たから、伝えとかないとって」
志保は、でも最後に決めるのは自分だから、って言って帰って行った。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2025/2/2 10:26
よる
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