12月14日

12月14日
「知ってます?先輩。今日の深夜って紫の綺麗な満月なんですよ!」 「へー、そんな月あんのか。」 十二月十四日。時刻は二十三二時を回る頃、仕事が終わり、先輩と帰路に着く。やっと終わったかと思えば明日は開発会議があったり、外回り行って夜遅くなるまでパソコンでパチポチパチポチ・・・。普通に見えてヘトヘトになるような業務ばかり。これが毎日続くとなるとやめたくなるのも無理はない。だけど大好きな先輩と一緒に帰れるからそんな絶望的な仕事だって屁の河童。一緒に頑張って一緒に帰って終電乗って色んな話をする。先輩と一緒にいる時間は私にとって至福の時間そのものなのだ。 「じゃあ、河川敷にでも行って月でも見るか。コンビニでビールとツマミでも買って」 「いいですね!!!最高!」 そんな先輩からのお誘いに私は食い気味に賛同をした。先輩は「そんなにか」と笑ってコンビニに向かう。 「しかし、こんなオジサンと夜遅くまでいていいのか?」 コンビニで先輩はお酒をカゴに入れてそんなことを言う。二十九歳はオジサンではないと思いながらも 「そんなことないです!先輩と一緒で嬉しいです!」
田中
田中
心に残る小説を。