抑えられない欲望
午後の部活が終わり俺は帰ろうとしていた。すでに日は落ちかけ、舞茸のような形の雲が一部赤みがかっている。夏休みなのに暑さのせいで午後からの部活、これほどめんどくさいものはない。俺は重たい足を引きずりながら校門を出る。すると塀のそばには同じクラスの上坂麻衣(コウサカマイ)がうずくまっていた。そのまま通り過ぎようかと思ったが、もし体調が悪いなら先生を呼んだ方がいい。そう考え俺はそっと近づく。
「大丈夫?」
上坂さんはゆっくりと顔を上げる。目は少し赤く頬には涙の通った跡がある。
「あっ、ごめん・・・その、もし体調が悪いなら声かけた方がいいかと思って・・・」
上坂さんは黙ったまま立ち上がりこちらを見つめる。俺はどうしていいのか分からず目をそらす。すると上坂さんはそっとこちらへ歩み寄り、急に抱きついて来る。
顔は見えないがきっと今上坂さんの目からは涙が溢れ、頬を伝って俺の肩へと流れている。そういえば上坂さんには一つ上の彼氏がいるという噂を聞いたことがある。今泣いているのはその彼氏と何かあったからなのだろうか。だとすると今こんなことをしているのは罪深い気がする。しかしそれと同時に背徳感もある。
「あの、上坂さん・・・こんなことは流石に・・・」
「ご、ごめん・・・」
上坂さんは一息つくと俺から離れ、赤い顔を隠すようにうつむく。
「いきなり抱きついたりなんかしてごめんね・・・」
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2025/8/15 6:50
エーテル (短編・SS)
SF・異世界・非日常などちょっと独特な感じのショートショートをメインで書きます。
(全然別ジャンルも書くかも)
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