流木

その流木は、最初から“そこにあった”。  海沿いの町『海樓町』に引っ越してきて一週間。  高校への通学路として使う防波堤の脇に、灰色がかった巨大な流木が横たわっているのを、俺――朝霧(あさぎり) 湊(みなと)は毎朝目にしていた。  不思議なのは、潮位が変わっても、嵐が来ても、  流木の位置が一ミリも動かないことだった。 「(……撤去しないのかな)」  独り言を呟きながら通り過ぎるたび、
高梁ガニ
高梁ガニ
皆さん初めまして。出来るだけ多くの作品を作りたいと思っています。出来ればコメントしてくれたらなーと思っています(欲では無いです)