犬の気持ち その28

「ぽち、今年が残りわずかなんだけど」  そうだな。寒くなってきて、毛がふさふさになってきた。帰ったら、ブラッシングをしてほしいくらいだ。 「ぽちはええよな。毛があるから、冬でもぬくぬくやろ」  それでも、寒いものは寒いからな。毛は、別に万能ではないぞ。 「大して人間は、防寒具を着るしか能がない……。本当にそれでいいのか、人間は……」  大丈夫だ。青に心配されるほど、人間は危ない状態にないし、例え何か危機が訪れても青は何もしなくてもいい。 「なぁ、ぽち。少しばかり私に毛を譲ってくれんか?」  ブラッシングで抜けた毛であればいいが、刈り取るのはやめろよ。  あと、俺の毛は、そんなに量がないぞ。 「ぽちの毛を集めて、コートを作れば手軽に毛皮のコートが完成や。知っとるか、ぽち。毛皮コートは高いんやで」
きと
きと
就労移行支援を経て、4度目の労働に従事するおじさんです。 あまり投稿は多くないかも知れませんが、よろしくお願いします。 カクヨム、エブリスタでも小説を投稿しています。