人と魚

人と魚
「おい、ゲイル早速行こうぜ」  ギラリとした日差しが肌を刺す中、友人のモーゼスはゲイルの家の扉をたたく。 「モーゼス……? 一体何の用だ?」  もう時計の針は午後を示そうかという頃合いなのだが、寝起きであるゲイルは眠い目をこすりながら扉を開ける。ズキズキと痛む頭が昨晩どれほど酒を呑んだのかをゲイルに知らせる。  一方のモーゼスはというと、なぜか目を爛々と輝かせている。 「おいおい、お前覚えてないのかよ! あの爺さんが話してただろ?」  モーゼスは興奮が抑えきれない様子である。 「は? 爺さん?」  必死に記憶の糸口を探る。爺さん、昨晩、酒、モーゼス……。 「……人魚?」
ひるがお
ひるがお
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