灰に落ちる一滴
銃弾の暴風を前にしてもクローネは微動だにしない。何故ならば、目の前にリオラが居るから。
思惑通りダルタンの狙いは定まらず、彼が放った銃弾はクローネに掠りもしない。
合図を待たずに行われた銃撃は、開戦を告げる音色となって一帯に轟く。
ダルタンの錯乱は轟音に乗って、別行動を取っていたガルダの耳に届いた。
「どうしたダルタン! ダルタン!」
ガルダは耳元に装着した小型の通信端末を通して呼びかけた。
しかし、銃声に遮られて声が届かない。
ダルタンの突発的な発砲は、完全に作戦を度外視した行動だ。
ダルタンがクローネの注意を引いている間に、ガルダ達は残された二十四名の部隊を率いて兵器が積まれた武装ヘリを可能な限り奪取するつもりだった。
雷で撃墜されるリスクは、ダルタンの協力があれば回避出来る。彼は幾度かクローネと交戦したことがあり、槍を避雷針にすることで雷撃をいなしたことがあった。
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カテゴリー: SF
投稿日時: 2022/1/28 12:59
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
アバディーン・アンガス@創作アカ
ローファンタジーや一風変わった雰囲気の作品が大好物。
主にダークファンタジーとかサイバーパンクとか、好きな要素をごった煮した作品を鋭意執筆中です。
「好きじゃないけど面白い」と言われる作品を目指しています。
合間に書いた短編を気ままに投稿していく予定です。