第2話

「――では、これでホームルームを終わりにするぞー」    担任の百瀬先生が、キレのない、のんびりとした口調で、ホームルームの終わりを告げる。  きっと、今の今まで、クラスの誰もが先生の話を右から左に流していたに違いない。  しかし、「終わり」という言葉が聞こえた瞬間、生徒一同、眠りから目覚めたようにはっと目を見開いた。  そして、先生の口から次の言葉が出るのを、今か今かと待ち望み、全意識を前に向けていた。    おそらく、彼等――いや、主に彼女等のお目当ては、転校生の暁場くんだろう。  早く声を掛けたくてうずうずしていたに違いない。  事実、あたしがメモを取りつつふと顔を上げたとき、女子生徒の多くは彼の方を見ていた。
nonnki
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詩を書く人間です。小説もたまに書くかもしれません。 よろしくお願いします🙇‍♀️