巡回
そんなある日のことである。蓮華は街に出かけていた。この街は発展している。明るくて、賑やかで…少し歩いているだけでも楽しいのが時塔の街である。蓮華がそんなところで何をしているのかというと、買い物…と言いたいところだが、実は買い物ではない。巡回をしているのだ。この街にも警察はいる。それでも解決できない奇怪な問題がある。要するに妖怪や魔物といった人ならざるものが起こす問題だ。それは流石にただの一般人である警察が解決できるようなものではないため、それぞれの街を守る七つの術家がそれぞれの街を守るためにこまめに巡回しているのである。今日は蓮華が当番の日。当番の日は朝から翌日の明朝まで常に外に出て警戒している必要があるため、通っている学校は休んで良いことになっている。(実を言うと蓮華は大学1年生。同じ術家の人間にも術師であることを隠して通っている。)
「今日も平和かなぁ…」
そんなことを呟きながら、それでも周囲に気を配りつつ歩く。“人助けも仕事である“それが人とは異なる力を持った者の使命なのだ…という家訓があるくらい五城家は良い家だったのだ。それに則って、いや、則らずとも進んで人助けをするのが五城蓮華である。そんな時、
““ドンっ““
不意に後ろから鈍い音がした。
“なんだ?“
慌てて後ろを振り返る。すると…
「有、どうしたの⁈ねえ!…ねえって」
8歳くらいの男の子が頭から血を流して道の真ん中で倒れており、それを見た母親と見られる女性が有という男の子に向かって必死に叫んでいる。迷う暇はない。蓮華は慌てて後ろに向かって駆け出す。
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カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2022/12/30 4:35
リス