桜雨〜サクラメ〜

桜雨〜サクラメ〜
    静かな夜に突然の雨が降る。雨音と風の音で樹々を揺らしているのがわかるほどに夜の静寂と頭の中をかき乱す。        桜が開花し。近くの公園では人々が散歩やピクニックで花見を楽しむ姿があった。そんな人々を横目に桜のそばにあるベンチに腰を落とす。花びらの落ちる姿に儚さを覚えながら人間としての終わり方を考える。    春鬱や五月病といった言葉があるように気が滅入ってしまう人たちがいる。季節のせいか、社会に出た人たちが現実に押し潰されてしまうのか。  深くまでは考えずとも一頻り最後という言葉に辿り着く。仕事や家族、趣味ややり残したことがあったりすると最後まで辿り着くこともなく、いつもと変わらない日常に戻って行くのである。  自分の最後はいつくるのか。どんなふうに飾りつけるのか。病気や怪我か。自分の手で自分の人生を終わらせるか。もしくは、人の手による事件や事故。道具や手段、場面、場所。  考えれば考えるほど少しずつ、だが確実に蓄積していき心を蝕んでいく。考えたいわけではなく頭の片隅に消えずに潜んでいて唐突に大きくなっては頭の中を占領してきて考えさせてくる。何かをしている時やいつの間にか寝てしまっていたり、忙しくしている時はまた見えなくなり潜んでしまう。
露草 夜愛
露草 夜愛
初めましてツユクサです。以後お見知り置きを。フォロバします。