【籠の中の鳥】
世界を魔王の魔の手から救って、平和が訪れたと思っていた。みんなが幸せで暮らしていけると。――なのに、そうではなかった。
「もうどれくらい、ここにいるのかな……」
唯一の光が差す小さな窓を見上げながら呟いた。手を伸ばしても届かない。冷たい石畳の床に横になる。ひんやりと伝わる感覚に慣れてきたところだ。
自分自身は一体何をしたと言うのか。どうして、この狭くて冷たい牢屋に入れられているのだろうか?
何度問うてもわからない。何もわからない。
「ただ、世界を救っただけなのに。みんなの笑顔を守りたかっただけなのに……」
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カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2024/6/8 14:54
時雨 天