まどろみの列車

 目を覚ますと、見知らぬ列車に乗っていた。窓からは、夕日が差し込んでいる。  日々の通勤では、確かに列車を使う俺だが、車内も車窓の風景も見たことがないものだった。 「目が覚めましたか?」  声のした方を見ると、キレイな女性が乗っていた。黒いロングヘアに整った顔。深窓の令嬢を思わせるような女性だった。 「あの……ここは……?」  俺は、震えた声を絞り出す。何か変なことに巻き込まれている気がしてならないのだ。  だって、ここには目の前の女性と俺以外に誰もいないから。  女性は、少しだけ首をかしげて言う。 「さぁ?」 「さぁ!?」
きと
きと
就労移行支援を経て、4度目の労働に従事するおじさんです。 あまり投稿は多くないかも知れませんが、よろしくお願いします。 カクヨム、エブリスタでも小説を投稿しています。