朝日2思春期

 強い刺激臭の中でゆっくりと深呼吸をする。普通の感覚であれば嫌なのだろうが、私は気にならない。この刺激臭も、慣れてしまえばなんてことない。もはや、この臭いを嗅がないとリラックスできなくなりつつある。  だが、束の間の休息ももう終わりだ。二分前着席を声がける級長の声が聞こえる。そんな文化存在したのか、とか、考えたやつ誰だよ、とか思いながら個室のドアを開ける。キィキィという甲高い音が、トイレに響く。  何故私が、休み時間をトイレで過ごすようなつまらない人間になったのか。理由はシンプルだ。教室に居場所が無いからだ。  何故か足跡のついている天井を眺めながら、やる気の感じられないポスターに右肩をぶつけながら、私は教室へ向かう。  いっそのこと、イジメてくれれば良かったのに。そしたら私は、イジメの果てに心を病んだ悲しい少女になれたのに。なんていつも思っている。  金木犀の匂いがした。優しく、全てのものを愛するような香りも、捻くれた私は愛することができなかった。  午後の授業は眠く、しかも苦手教科の数学で、現実がまるで夢の中のように、曖昧で不安定なものに感じられた。  私は、苦手教科を克服しようと努力するほど真面目では無いので、授業内容など、まともに聞いてはいなかった。  ここにはただ、退屈だけが広がっていた。
神月二千楓
学生です。黒歴史が大量発生すると思います。暖かく見守ってくれると嬉しいです。 サスペンスが書きたいのですが気力がなくて無理そうです。ペンネームは適当です。