寒い国のチュチュとヒョウ 【メルヘンBL】

寒い国のチュチュとヒョウ 【メルヘンBL】
 ここは、寒い寒い北の国。一年中雪が降り積もっていて、一面が銀世界。  移動手段は、そりとトナカイ。背の高いもみの木がたくさん植っている森の中の小さな家に、チュチュは生まれました。  母親譲りのきれいな金髪に、長いまつ毛。チュチュはとても綺麗な少年に育ちました。  チュチュの母親は彼を産んだすぐ後に、病気で亡くなってしまいました。ですからチュチュは、母親がどんな顔をしていたのか、写真でしか知りません。  彼の父親は、チュチュを養うために、一生懸命働きました。彼の仕事は、木を切って薪を売ることです。その仕事はあまり稼げませんでしたが、それでも彼は一生懸命木を切り続けました。  今年、チュチュは十歳の誕生日を迎えました。いつも働き詰めの父親もその日ばかりは仕事を休み、彼の誕生日を祝います。  しかし、楽しい誕生日も一日でおしまい。次の日からまた父親は仕事に行き、チュチュは一人で家にいなければなりませんでした。  チュチュはとてもとても寂しくて、一人ベッドの上で泣いていました。わんわんと声に出して泣いていました。  暖炉の火が、彼をそっと照らしています。  そんな時です。こんこんと、誰かがドアを叩く音が聞こえました。
サーモンハンバーグ
サーモンハンバーグ
小説やらを書散らす、自称小娘です。 Twitter▷▶︎▷▶︎ https://twitter.com/salmon_humburg_?s=21