紅葉と高揚と

紅葉と高揚と
乾いた木の葉を踏みしめる。その独特な感触が、少し厚いラバーの靴底を通して、足裏へと伝わっている。脆く、生命を全うしたその骸は、カサリと心地の良い後味を残して、原型を手放した。 秋風は心地よく、踏みしめた骸は彼方へと遠ざかる。その姿は、少しばかりの寂寥と、生命の変わり目を讃えるような、そんな暖かさを備えていた。そう、だから心地が良い。 「私も、乾ききってしまったな」 「いつぶりだろうか、この甘く香ばしい香りに釣られるのは」 日も落ち始めた空色に紛れて、薄い白粉のような僅かな煙を追っていく。 「石焼き芋 おいも~」 段々と近づく、聞き覚えのあるメロディ。 それと共に、何故か高まっていく期待感に自然と足取りも軽くなる。 「一つ、頂けますか」
じゃらねっこ
じゃらねっこ
ねこじゃらしが好きなので、じゃらねっこです。