紅葉と高揚と
乾いた木の葉を踏みしめる。その独特な感触が、少し厚いラバーの靴底を通して、足裏へと伝わっている。脆く、生命を全うしたその骸は、カサリと心地の良い後味を残して、原型を手放した。
秋風は心地よく、踏みしめた骸は彼方へと遠ざかる。その姿は、少しばかりの寂寥と、生命の変わり目を讃えるような、そんな暖かさを備えていた。そう、だから心地が良い。
「私も、乾ききってしまったな」
「いつぶりだろうか、この甘く香ばしい香りに釣られるのは」
日も落ち始めた空色に紛れて、薄い白粉のような僅かな煙を追っていく。
「石焼き芋 おいも~」
段々と近づく、聞き覚えのあるメロディ。
それと共に、何故か高まっていく期待感に自然と足取りも軽くなる。
「一つ、頂けますか」
2
閲覧数: 163
文字数: 1191
カテゴリー: その他
投稿日時: 2025/9/21 13:12
最終編集日時: 2025/9/23 9:28
じゃらねっこ
ねこじゃらしが好きなので、じゃらねっこです。