ポニーテール

ポニーテール
「髪、結ばねーの?」  不意に横から声がかかり、目をやると隣の席のそいつが私の腰まで伸びた髪をじっと見つめていた。 「は?」 「最近、暑いじゃん」  太陽の光が容赦なく降り注ぐ窓際一番後ろの席に座る私は、確かに暑くて仕方がない。開け放たれた窓の外、青い空の向こうには入道雲が見えている。  黒板の前に立って話す先生の声をかき消すように蝉の鳴き声が遠くから響く。  私は、視線をそいつから先生の方へと移して答える。 「別に、あんたには関係ないでしょ」 「そーだけどさぁ」  授業を全く聞いていない様子のそいつは、項垂れつつも私から視線を逸らさない。
葉月
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