羅城門と青年

羅城門と青年
鉛色の空。朱雀大路の向こうから、額に汗を流しながら奔ってくる2人の男。 彼らは目前に聳え立つ門から郊外へと出ようとする矢先、門前に立っているひとりの青年の刺すような視線に気がついた。 白い狩衣を来た彼は、おそらく“検非違使”───太政官より賜った官職で、宮中や京の警備に就いている者だと思われる。 青年は、男たちをみると、形のいい眉をひそめ、その黒い瞳孔で彼らをにらんで。 「貴様等。盗人だな。手に持っているその袋を見せてみよ」 澄んでいるようで、それでいてどこか威圧的な青年の声色に、盗人どもはたじろいだ。 華奢な体躯に合わぬ長い聖柄、檜皮色の柄からは、時折、まるで雪景色のような刃が顔を覗かせている。 「この門の名前はなんだと思う」
ごとばいん。
ごとばいん。
古典、現文の題材をリメイクしたり、オリジナルたまに書いたりマンです。