プロローグ「黄昏時」

ようやく日がぐずぐずと昇りだし、朝焼けに空が赤くにじんでいく。 ドアに背をもたせかけて、玄関ポーチに少女が座っている。 目を閉じ、なにかものいいたげに少しだけ口を開いて、陽だまりの中で昼寝をしているような、あどけない顔で。 頭の上では青いリボンが涼しい朝風に遊ばれて、ふわふわと揺れている。 少女を見下ろしている、髪の長い少年がいる。 灰色の帽子を被った少年は、焼けゆく空を背にし、表情は暗く陰っている。 服のあちこちがほつれ、破けて、つまりはボロボロで、肩からかけている黒いカバンも砂場で転がったあとのように薄汚れていた。ひじを擦りむいた片腕で大切そうに黒い子猫を抱え、もう片方の手で白い子犬に繋がるリードを握っている。 眠れる少女へ、ぽつりと小声でなにかを伝えると、そっと門から出ていく。 疲れの色が浮かぶ擦り傷だらけの顔を上げ、足を引きずりながら、まだ夜のこびりついている町を歩く。 白い子犬はリードがぴんと張るくらい元気に走った、かと思うと戻ってきて少年を気遣うように横に並んで歩いたり、またすぐに跳ねるように走っていったりと忙しい。
闇影
闇影
小説書くの初心者です。ゆったりまったり頑張ろうと思います。 (少しずつ復帰中、これから投稿頻度はかなり下がると思いますのでご了承ください)