あの夏への帽子

あの夏への帽子
昔貸してもらった帽子を今日は返しに行く。 小5のとき家族で沖縄に行った時に地元の男の子と仲良くなった。帰り際男の子との別れが寂しくて泣いてしまったから男の子が私に帽子を貸してくれた。 「この帽子返しに来て。そしたらまた会えるよ。」 だから今日は男の子との7年ぶりの再会の日でもある。 あの日から男の子には会っていない。手紙も中学受験をする時にお互い忙しくてやめてしまった。 あれから7年経った今スマホという便利なものがあるから彼に電話してみればいいだけの話なんだけど、なんだか電話はしたくない気分だった。 男の子が私のことを覚えてなかったらどうしよう、そんな不安がよぎりながら足を進める。どんどんコンクリートから砂の道になり見覚えのある街に出た。
めんま
めんま
女子中学生の小説