【‎改訂版】朝露に揺れる

【‎改訂版】朝露に揺れる
 これは俺の心が死ぬまでの話だ。  揺蕩う金髪が目を惹くシルビーは、瞬きもせずに藍色の瞳でぼんやりと窓の外を眺めている。何かを見ている訳ではない。ただ、視線がそちらを向いているだけだ。 「シルビー」  恋人の俺が呼び掛けても、反応はない。それもそのはず、彼女の心からは感情が消えているのだから。人々はこの病気を『失心症』と呼んでいる。  異変は半年前に訪れた。冗談を言っても笑わなくなったのだ。それから徐々に笑顔は消えていき、怒りという感情もなくなっていったようだった。子供に悪戯をされても無表情――初めて、シルビーのことを怖いと思ってしまった。咄嗟に詫びたが、シルビーは何も答えてくれない。そして、涙も見せなくなった。  喜怒哀楽、全てがない。こんな状態の人間を『人』と呼べるのだろうか。この病気は死よりも何倍、何十倍も恐ろしいと思うのだ。  そして、シルビーが全ての感情を失った日のこと、突然とある声が聞こえるようになった。姿を見せないその男は、何かと俺に指図をするようになっていた。  人気のない洞窟で盗品を漁っていた時のことだ。その男の声は突然降ってきた。
七宮叶歌
七宮叶歌
恋愛ファンタジーな連載と、ファンタジー、時々現代なSSを載せています。エッセイも始めました。 フォロー、♡、感想頂けると凄く嬉しいです♩ 他サイトでは、小説家になろう、カクヨム、NOVEL DAYSで投稿しています。 NSS、NSSプチコン優勝者、合作企画関係の方のみフォローしています*ᵕᵕ お題配布につきましては、連載している『お題配布』の頁をご確認下さい。 小説の著作権は放棄しておりません。二次創作は歓迎ですが、掲載前に一言でも良いのでコメント下さい。 カクヨムにもいます。 2025.1.23 start Xなどはこちらから↓ https://lit.link/nanamiyanohako お題でショートストーリーを競い合う『NSSコンテスト』第5回は2026.9.1開催予定です。 優勝者  第1回 ot 様  第2回 ot 様  第3回 除草機1号様  第4回 黒鼠シラ様 NSSプチコンテスト 優勝者  第1回 黒鼠シラ 様