【改訂版】朝露に揺れる
これは俺の心が死ぬまでの話だ。
揺蕩う金髪が目を惹くシルビーは、瞬きもせずに藍色の瞳でぼんやりと窓の外を眺めている。何かを見ている訳ではない。ただ、視線がそちらを向いているだけだ。
「シルビー」
恋人の俺が呼び掛けても、反応はない。それもそのはず、彼女の心からは感情が消えているのだから。人々はこの病気を『失心症』と呼んでいる。
異変は半年前に訪れた。冗談を言っても笑わなくなったのだ。それから徐々に笑顔は消えていき、怒りという感情もなくなっていったようだった。子供に悪戯をされても無表情――初めて、シルビーのことを怖いと思ってしまった。咄嗟に詫びたが、シルビーは何も答えてくれない。そして、涙も見せなくなった。
喜怒哀楽、全てがない。こんな状態の人間を『人』と呼べるのだろうか。この病気は死よりも何倍、何十倍も恐ろしいと思うのだ。
そして、シルビーが全ての感情を失った日のこと、突然とある声が聞こえるようになった。姿を見せないその男は、何かと俺に指図をするようになっていた。
人気のない洞窟で盗品を漁っていた時のことだ。その男の声は突然降ってきた。
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文字数: 4730
カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2026/6/8 11:29
注意: この小説には性的または暴力的な表現が含まれています
七宮叶歌
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