第四章 ~古の魔人~ 1
輸送用エア・シップ【フリーデ号】。
その船体は、決して小さなものではない。セルフィーたちがサンタマリーまでやって来るときに搭乗したセント・アリエス号よりも全長は倍近く大きかったし、ボリュームならば優に三倍はある。
空飛ぶ要塞。そう比喩してもいいのではないかと、目の前に鎮座した大型エア・シップを見上げてセルフィーはそう思った。
「予想以上にでかいな……」
「うむ。内部構造までは把握出来なかったが、機体が大破していないのが不幸中の幸いだ。瓦礫を押しのけながら手探りの調査をする手間が省ける」
リィーガーの呟きに、ガロンが答える。
ゲート内からフリーデ号までの経路は、闇に紛れてステラが上空から調べ、ガロンが詳細に地図に書き起こしたらしい。そのおかげで、フリーデ号までは順調に辿り着くことが出来たが、ここから先は完全に未知の世界。入ってみなければ何も分からない。
ゲートからフリーデ号に至るまで、生きた巡視員たちの姿は見当たらなかった。おそらく、全てが先程遭遇したあの異形生物の餌食になってしまったのだろう。
一体、あの生物は何者だったのか。何故、あんなものがゲート内に存在したのか。不時着したフリーデ号や、ゲート付近で発生した住民の失踪事件との関係性は。疑問は数多くあったが、その答えが、目の前のフリーデ号の中に用意されている可能性は高い。
「あ……あの……。一つお聞きしておいてもいいですか?」
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カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2023/12/17 2:35
最終編集日時: 2024/1/19 2:18
ユー