物語る【essay】

活字は愛想を尽かしやすい。 相互愛を宣っておきながら、時間が経つにつれて僕の前からいなくなっていく。あれほど簡単に思えた綴りも、今となってはそう上手くはいかない。一文字、また一文字と言葉を紡いでいくはずの我が手腕は、鉛となってしまったかのように動きはしない。 物語ることが救いになるのは分かっている。 それでも止まる手がここにある。 羅針盤に諭されるように東奔西走と文字を書き散らしてきた。 それでも、納得ができない。 理想は人に未来を与え、果てに栄光ある豊穣をもたらすが、それと同時に、選民でもするかのように、終焉を与える。終焉とは、結末それ自体を意味する言葉ではないはずだ。その言葉は、始点から一歩踏み出したその瞬間にゴールが既にある。そんな現象を意味しているに過ぎない。 だから残酷だと思う。 文字を書くという行為は才能に依存するのか。
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Je dois m'ennuyer 11.4 ~