見せない涙。

見せない涙。
「じゃあね。」 少し肌寒い卒園式後の夜。 眠りにつこうとしている私の頬を触りながら、お父さんはそう言った。 お父さんの手のひらよりも小さい私の頬に1滴、涙が流れた。 なぜかは分からない、お父さんの口から「じゃあね。」という言葉が出てくるのはそう珍しいことでもなかった。 お父さんがお仕事に行く時やお出かけする時に、よく言ってきた。
りあん
りあん