もうすぐ春

もうすぐ春
 緑色の薄いカーテンから光が漏れ出ていた。それで今が朝だということを知る。  部屋の隅に置いた毛玉だらけのベッドから、身を起こさずにぼーっとその光を見ていた。光は部屋に舞った埃をちらちらと輝かせていた。  少し重ための掛け布団をどかしてから、腕を支えにしつつ身体を起こした。着ていた毛玉だらけのスウェットでは、ほんの少し寒さを感じる。  もうすぐ春というこの季節。ゴールがもう少しだけれども、まだ耐えねばならないというそんなもどかしさのようなものを感じる。 エアコンをつけるかどうか迷ったが、床に放り投げていたジャージを羽織ることで耐えることにした。  裸足の素足が少し寒いけど、光を入れるためにカーテンを広げてから台所の方に向かう。床に放置していた色んなものを避けつつ、ガスコンロの前までたどり着いた。  昨日の夜、洗い終えたやかんを手に取り、水を注ぎ入れる。水が入ってとろんとろんと音を鳴らすやかんをコンロの上に置いた。  ガスコンロのつまみを捻り、チチチチチッという音を聞く。ついこないだコンロの電池を変えたせいか、音の間隔は短く勢いがあった。  お湯を沸かしている間に、底が薄い茶色に染まっているマグカップを食器洗いかごから取り出す。それを狭いシンク横のスペースに置いてからインスタントコーヒーの準備をした。
尾鰭(おひれ)