第十三話 望み
ふと目が覚めると、硬いベッド…、いや、長椅子に寝かされていた。ものすごく嫌な夢を見た気がする。ルーシーとシーナが…いや、もう思い出すのはやめにしよう。
そう思い、体を起こす。当たりを見渡すと、そこは図書館のようだった。それも、かなり古い作りのものだ。
どのくらい時間がだったんだ?ついさっきまで戦場にいたような気がする。よっぽど酷い撃たれ方をしてどこかの市民病院に送られたのだろうか。仲間たちはどこだろう。俺はもう死ぬんだろうか。死ぬ前に、妻と娘に会わせてはくれないだろうか。
「大丈夫ですか?」
ふいに横から声がして驚いて振り返った。そこには、五歳程度の少女が立っていた。
その姿を見て、俺は思わず呟いた。
「に、人形…?」
キラキラと輝く碧眼、艶々とした金髪、まるで童話の姫のような白い肌に赤い頬、金持ちの家の使用人のような服装をしていても、少女は人形のように美しかった。こんな人間、この世にいるのだろうか。もしかしたら、もう俺は死んでいて、この少女は神の使い…天使というやつなのではないか。
「いえ、確かに名前はドールですが、人形ではないですよ!私はナイトです!」
まずい、いくら小さいとはいえ女の子にこの発言は誤解を産むだろうか…。
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カテゴリー: ファンタジー
投稿日時: 2024/5/12 10:21
月宮ちさき
中学3年生の月宮です。
演劇部
よろしくね。