田舎は嫌いだと思う。  東京は人が多くて、いつだって煌めいていた。人は流れ続け、ネオンがぱちぱちと瞬き、誰も私を気に留めなかった。学校でだってそうだ。芸能人の子供から訳アリの子供まで、ごちゃまぜに校庭で遊んでいた。社長の息子がボールを投げ、犯罪者の娘がそれをキャッチする。そんなことだって多分あった。みんなが泳いでいるようだった。私たちは都会の魚だったから。  五年生になって、親の都合で引っ越すことになった。行き先は微妙な田舎で、しばらくしてからその気持ち悪さに気付いた。  全員にラベルが綺麗に貼られているのだ。  もちろんこれは比喩である。しかし、頭の良い子は「優等生」をきっちり演じ、バカで幼稚な子は「問題児」をしっかりこなしているのだ。また、変な噂は消え続けることなく、それどころか町中に広まっていく。距離感も妙に近くて、プライバシーとやらは何処に行ったのかわからなかった。  転校してすぐの漢字テストで満点を取り、無事に私は「優等生」の枠に割り振られた。先生の信頼もすぐに勝ち取り、友達からも一目置かれるようになった。私は都会の酸素がなくなり、もう瀕死の魚だった。いつも愛想を安売りして、にこにこにこにこと笑っている。そんな面白みのない奴に成り下がってしまった。  クラスにはもう一人優等生枠の奴がいた。彼は勉強と運動が相当秀でていた。比較的大人しく、ひょろっとして眼鏡をかけている姿から、いかにもな雰囲気を私は感じ取っていた。
のこ
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